池田真市 子ども食堂基金|子ども食堂と寄付のコラム

「子ども食堂」名付け親が語る“限界”とこれからの役割

「子ども食堂」名付け親が語る“限界”とこれからの役割

2025年08月27日 19:40

池田真市(子ども食堂基金)


全国に「子ども食堂」という言葉を広め、活動の先頭に立ってきた近藤博子さんが、支援の限界を口にされました。
ボランティアの善意だけでは、子どもの貧困という根深い問題を解決することは難しい――。長年の現場経験からにじみ出るその言葉は、活動を支えてきた人々にとって重く響きます。

ボランティアに支えられた温かさと課題

子ども食堂は、地域住民や有志が「誰もひとりにしない」という思いでつくり上げてきた居場所です。温かいごはんや団らんを通じて、多くの子どもたちが笑顔を取り戻してきました。その積み重ねは、確かに社会を明るくしてきました。

けれども現場に目を向ければ、食材費の高騰や人手不足など、継続を脅かす要因が広がっています。運営者の高齢化や、担い手不足の声も少なくありません。近藤さんが「ボランティアだけでは続けられない」と語る背景には、このような現実があるのです。

必要とされる公的な仕組み

子どもの貧困は、家庭や地域の努力だけでは解決できない社会課題です。教育や雇用、社会保障など幅広い制度とつながってこそ、本当の改善につながります。
すでに一部の自治体では助成やフードバンクとの連携が始まっていますが、全国的に見ればまだ不十分であり、地域による差も大きいのが現状です。
「公的支援の必要性」を訴える近藤さんの言葉は、子どもの未来を守るために国や自治体が責任を果たすべきだという強いメッセージでもあると感じます。

基金としての思い

池田真市 子ども食堂基金としても、この課題を重く受け止めています。寄付や企業の協力による食材支援は大切ですが、それだけでは十分ではありません。だからこそ私たちは、地域のネットワークや行政と力を合わせ、長く続けられる仕組みづくりを目指しています。
近藤さんの「限界」という言葉を、悲観ではなく“次のステージへの合図”として捉えたい。子ども食堂が未来へつながる社会インフラとして根づくために、より大きな協力の輪を広げていく必要があります。

子どもたちの未来のために

日本では今も約9人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。この現実を変えるには、食の支援に加え、学びや安心できる居場所を整えることが不可欠です。
子どもたちが空腹や孤独に悩むことなく、夢を語れる社会をつくること。それが私たち大人に課せられた責任ではないでしょうか。

子ども食堂は、地域の希望の象徴です。その灯を消さないために、ボランティア・企業・行政がそれぞれの力を重ね、共に未来を支える仕組みを築いていきましょう。



子どもたちが安心してごはんを食べ、夢を語れる社会をつくるために、共に歩んでいきましょう。
▶ 【池田真市 子ども食堂基金】について



参考:

  • 東洋経済オンライン「こども食堂 名付け親が一線を引く決意」(2025年5月30日)

  • テレビ東京『ガイアの夜明け』2025年8月22日放送

  • 認定NPO法人むすびえ「全国の子ども食堂調査」2024年12月発表