
「6割のひとり親世帯が貧困 子どもたちの未来を支えるために」
2025年08月26日 23:58
池田真市(子ども食堂基金)
埼玉新聞が報じた調査から、深刻な現実が浮かび上がりました。食料支援を利用するひとり親世帯のうち、六割以上が貧困状態にあるというのです。数字にすれば「64.3%」ですが、その一つ一つの家庭には、毎日の生活に苦しむ親と子どもの姿があります。これは一部の人だけの問題ではなく、社会全体で考えるべき課題だと感じます。
調査を詳しく見ると、年収200万円未満の世帯がほぼ半数。過去1年間に「食料を買えなかった経験がある」と答えた家庭は56%にのぼります。電気やガスなど公共料金の滞納経験も一割を超え、一般家庭の約4倍という厳しさでした。さらに養育費を受け取れていない世帯は65%以上、正規雇用で働く親はわずか27%にとどまっています。働いても生活は安定せず、養育費も入らない。複数の問題が重なり、親たちの心に大きな負担を背負わせています。
こうした状況を前にすると、「貧困」とは単にお金の不足だけではないことが分かります。仕事を掛け持ちしても生活が追いつかず、将来の見通しも立てにくい。食費を削らざるを得ない日々の中で、「今日はお腹いっぱいにできない」と感じる親の気持ちは、数字だけでは表せません。そしてこの現実が長引けば、子どもたちの学びや健康に影響し、貧困の連鎖へとつながってしまいます。
一方で、地域の中ではフードパントリーや子ども食堂が広がり、食材や居場所を届ける取り組みが力強く続いています。ボランティアや地域の方々の善意に支えられ、子どもたちに温かな時間を提供しているのです。しかし現場には見えにくい課題があります。それは、食料を集め、仕分けし、運ぶ「物流」の大きな負担です。寄付があっても、それを実際に家庭に届ける仕組みが整わなければ活動は長続きしません。調査に関わった専門家も、行政と地域が一緒になって支援の仕組みをつくる必要を訴えています。
池田真市 子ども食堂基金では、こうした現場の声を受け止め、子どもたちへの支援が途切れないよう取り組んでいきます。必要なのは一時的な食料の提供だけではなく、活動が継続できる環境を整えることです。皆さまからの寄付や協力は、ただの「食材」ではなく、「子どもたちの毎日の安心」へと変わっていきます。それが私たち基金の大きな使命だと考えています。
今回の調査は厳しい数字を突きつけましたが、それは同時に「私たちが今すべきこと」を示しているようにも思います。子どもたちの笑顔を守ることは、地域の未来を守ること。一人ひとりの力は小さくても、集まれば確かな支えになります。
どうかこの現実を「ただの統計」として流さずに、行動のきっかけにしてください。寄付という形でも、活動への参加でも構いません。
子どもたちが安心してごはんを食べ、夢を語れる社会をつくるために、共に歩んでいきましょう。
▶ 【池田真市 子ども食堂基金】について
※参考:埼玉新聞(2025年8月22日付)「60%以上が貧困状態 食料支援利用の埼玉県内ひとり親世帯」